2022年度の全国学力・学習状況調査の結果が5月16日に文部科学省の専門家会議で発表されました。その分析によると、男女間で正答率に大きな差は見られなかったものの、女子児童・生徒の方が理数系科目を「好き」と答える割合が低いことが明らかになりました。この学力調査は毎年、全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施されており、女子の理数系科目に対する関心の低下が小学生の段階から始まっていることが伺えます。
(※2024年5月17日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
専門家会議での分析結果発表、男女間の正答率に関する傾向
5月16日に開催された専門家会議では、2022年度調査の分析結果が公開され、正答率とアンケート結果との相関関係などについて報告が行われました。理科に関しては、2022年度以外の過去3回(2012、2015、2018年度)の調査も併せて分析されました。2015年度の小学6年生に関しては男女別のデータがないものの、それ以外のすべての調査では、小学6年生と中学3年生のいずれも女子の平均正答率が男子より高いことが確認されました。ただし、その差は大きくなかったとされています。算数・数学でも同様の傾向が見られました。
2022年度調査結果→女子の理科・算数への興味に男女差が浮き彫りに
2022年度の調査において、「理科の勉強が好きか」という質問に対し、「当てはまる」または「どちらかといえば当てはまる」と回答した割合は、小学6年生の女子が76.6%で、男子の82.9%と比べて6.3ポイント低い結果となりました。中学3年生では、女子が58.8%、男子が73.9%で、女子の方が10ポイント以上低い数値が示されました。同様の傾向は算数・数学においても見られ、小学6年生と中学3年生のいずれにおいても、女子の割合が男子より低い結果となりました。
田端教授が指摘する課題、女子の理数離れとジェンダー平等の推進
宮城教育大学大学院の田端健人教授は、会議の中で「女子が小学校から理数系科目に対する関心を失いつつある現状が見られる。ジェンダー平等を目指し、学校現場で理数系科目への意識改革を進めることが重要な課題である」と述べられました。
「女の子だから・・・」親や親戚が将来の選択肢を狭めていませんか?
保護者が「女の子だから」という固定観念に基づいて、将来の選択肢を狭めてしまうことは、子どもの成長と発展に対して深刻な影響を及ぼす可能性があります。子どもは、自分の才能や興味を伸ばしていくことで、将来の夢や目標を見つけていきます。しかし、性別に基づく偏見や制限があると、その可能性を十分に発揮できず、将来的に後悔や自己肯定感の低下につながることがあります。
特に理数系の分野において、女子が小学校からその興味を失いがちになるのは、社会的なステレオタイプや周囲の期待が影響していることが少なくありません。「女の子だからこの分野は難しい」「女の子には向いていない」といった言葉や態度は、無意識のうちに子どもに自己制限をかける原因となります。
子どもが自分の可能性を広げ、どんな分野でも挑戦できるようにするためには、保護者が性別にとらわれず、子どもの興味や能力を尊重し、応援する姿勢が必要です。性別に関係なく、すべての選択肢を自由に探求できる環境を整えることが、子どもの健全な成長と将来の成功に繋がるのです。