新型コロナウイルスが蔓延し、世界の常識が変わってしまってから1年半余り。子どもの世界でもスタンダードが変わりつつあるようです。
そんな中、子どもの将来の夢まで大きく様変わりしているようです。
最近増えた「会社員」という夢
長引くコロナ禍、子どもに将来の夢をたずねると、意外にも会社員と答える子が増えているそうです。
理由はいろいろ考えられますが、在宅勤務になった保護者の影響に大きく左右されているのでは、と見る人もいるようです。
親の姿を身近に見るようになり、真面目に働く親の姿が子どもからよくみえるようになりました。
子どもなりに、コロナ禍で厳しさにさらされている業界と人手不足がさらに進んだ業界もわかっているのでしょう。
子ども達の中にも現実思考が高まり、「会社員は、すごくいいわけではないけど、特別悪いわけでもない」とでも感じているのかもしれません。
2020年の第一生命保険の調査では、男の子の1位、女の子の4位が会社員となっています。
男の子2位は「Youtuber」、二極化?
第一生命保険の「大人になったらやりたいこと」の調査で過去には、男の子の夢が「プロ野球選手」と「プロサッカー選手」が断トツで多かった時代が長くありました。
さらに、日本人がノーベル賞を受賞した2002年と2017年には「学者や博士」と答える男の子が多かったとのこと。メディアの影響を受けている様子がわかります。
女の子では、食べ物屋さんやパティシエなど食べ物に関する職業がほぼトップを維持しています。
ただ、会社員は5位以内に入ったことがなく、昨年初めて4位に入り、女の子もより現実思考が高まっているのかもしれません。
ただ、男の子の2位は「Youtuber、動画投稿者」となっています。このことから夢が二極化している、と分析する人もいます。
現実を見据えた会社員と夢を追うYoutuber。どちらも、子どもたちが自分の頭で考えて結論を出し選んだのなら、何も問題はありません。
職業や肩書で人をランク付けする風潮があるからか?
漫画家の東村アキコさんは、会社員と言う答えに対し、「大人向けに用意した答えでは?」と想像したそうです。本音は表立って言わず、SNSでこっそり語り・・・こんなことが行われているのかもしれません。
最近は肩書や職業で人の価値を決める風潮もあり、比較的自由な職業に就いている人が息苦しさを感じているのかもしれません。
東村さんは、仕事と夢は一緒じゃなくてもいいと話しています。夢を持つのは大切なことだし、夢を持つためには「もっと自分の心の声を聞いて」と語っています。
いずれにせよ、どんな職業でも親は自分の仕事に誇りを持ち、真面目に頑張る姿を子どもに見せることが何よりも大切のようです。
2021年7月1日(木)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/