PC1人1台時代へ、GIGAスクール構想

全国の小中学生に1人1台PCやタブレットを使う環境を整えようと、日本政府の「GIGAスクール構想」が動き出しました。
しかし先進国では既に導入されている国が多く、日本は学校へのICT整備が大きく遅れているとも言われています。
子供たちの学びに多くの効果が期待できるはずです。

意見の発表が瞬時に行え、個別の指導の指針も分かる

例えば各自の考えを発表する授業では、以前なら「発表用ボードにまとめてから張り出す」という手間が発生していました。
しかしPCやタブレットでは「各自がノートを撮影してアップ」するという手間のみ。大幅な時間の短縮ができ、その空いた時間で他の学習を進められます。
画面上でそれぞれの意見が見え、共有したり考察したりすることができます。

課題は膨大な維持費、しり込みする自治体

端末を導入するだけなら予算は組めるかもしれません。しかし維持費が膨大になることが予想され、自治体は「国からかなり補助をしてもらわないと維持できない」としています。端末はソフトの更新や故障時の対応などが不可欠です。
また、教員も悩んでいます。インフラが導入されたからと言っていきなり「これを使って授業」といわれても難しいでしょう。
どんなソフトを使ってどのように授業を行うかなど、教職員の研修にも時間がかかります。
また地方格差があってはならない義務教育。なるべくたくさんの自治体が一斉に始めないと格差が生まれてしまいます。

すでに導入している自治体も

熊本県では地震の経験から、既に導入を始めました。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休校になった際も上手く活用されています。
テレビ会議ソフトで朝の会をし、ドリル学習の際にはオンラインでいつでも質問できる環境を整えました。
避難所や少し離れた祖父母の自宅にいても通信環境が整っていれば同じ学習かできます。
データを集計して、その子が苦手でつまづいている部分が分かれば重点的に学習できます。
またかなり高度な得意分野の子は、発展的な課題を与えることもできるでしょう。

情報共有から様々な価値観が生まれる

これからプログラミング教育も始まります。プログラムを作って試行錯誤し楽しむ経験はどんどんしたほうがいいでしょう。
教科の枠を超えた学びができるかもしれません。
子どもの頃からそのような環境に身を置くことで、芸術分野や音楽分野など新たな価値観を生み出していくでしょう。新しい文化も生まれるかもしれません。

2020年3月22日(日)、23日(月)朝日新聞朝刊より出典