GIGAスクール構想という言葉をご存知ですか?全ての小中学生1人ずつパソコンやタブレットを配備するという国の事業です。世界の先進国の中では非常に後れを取っている分野でもあります。
ただ、私立の8割は補助を申請していないとのこと。なぜそんな事態がおこったのでしょうか。
管理費や使用方法に制限が多い!
GIGAスクール構想では、国公立の学校は1台当たり45,000円、私立は1台につき半額(上限は45,000円)を補助する仕組みで2019年に始まりました。
日本全国に私立の小中学校は約1,000校あります。しかし、端末導入の補助申請があったのが約200校にとどまりました。
私立ではこの事業開始前から独自に進めてきた学校もありますが、多くは保護者の負担で購入しているとのこと。
補助金が出るのにあえて申請せずにいるのは、いったいどんな理由があるのでしょうか。
①管理費が学校負担
端末の所有者が学校法人となるため、壊れた場合や、更新時の費用を負担しなければなりません。国からの購入補助が永続的に続かないとにらみ、申請を控える原因になっているとのことです。
②児童生徒が自由にソフトやアプリを入れられない
同じ端末だとそれぞれの生徒に応じたソフトやアプリがインストールできません。これでは子どもそれぞれが興味を持った分野を開拓して行こうという意欲が失われるかもしれません。
日本私立中学校高校連合会の吉田会長は、保護者に負担をかけることになって申し訳ないのだが、子どもや家庭に自由に選んでもらい、個人所有の道具とした方が教育効果も高い、と考えているそうです。
1人分の補助金をクーポン券で配れないか・・・
クーポン券を配って個人が購入するための補助にできればうれしい、と横浜市の星光学園の工藤校長は話しています。
GIGAスクール構想の補助では、制度的な制約が多すぎて、生徒が日常使いするのに向いていないとのことです。
生徒自身が必要と考える端末をそれぞれが選択し、問題解決法や活用方法も一緒に学ぶのも一つの勉強になります。同じ端末に制限をかけて使うことが教育的ではないとも感じます。
2021年3月23日(火)朝日新聞朝刊より出典