昔から「子どもは若いうちに産みなさい」と言われてきました。子育ては体力勝負であり、若くないと体が持たないことも理由の一つでしょう。
また、女性は35歳を過ぎると高齢出産と言われ、出産や胎児にリスクがあるとされています。
最近、父親が高齢だと胎児の脳にリスクが現れる可能性が高いことがマウス実験で分かりました。

自閉スペクトラム症の子どもの増加は父親の高齢化が要因か？

ここ数年、ASDと言われる自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群の子どもが増えています。
昔からそれらは父親の影響が強いと言われていましたが、今回東北大学のマウスの実験結果からも同様のことが分かってきました。高齢の父親は精子の中のDNAが変化し、それが胎児の脳の発達に悪い影響を及ぼすようです。

今回、東北大学の神経発生学 大隈典子教授らは、高齢の父親から生まれたマウスと若い父親から生まれたマウスとを比較しました。その結果、高齢の父親から生まれたマウスには自閉傾向と見られる特徴があったとのことです。

●自閉傾向のあるマウスと同様の鳴き方をする

ヒトでいう50代程度の高齢のマウスから生まれた子どもは、鳴く頻度が減り、単純な鳴き方が増えたとのことです。
これは、自閉傾向が起こるようにしたモデルマウスにもよく見られる傾向だとのことです。

●知覚や記憶をつかさどる大脳皮質が薄い

知覚・記憶に関わる一部の大脳皮質の厚さを調べたところ、高齢の父親を持つマウスの方が薄かったとのことです。
神経細胞の減少により大脳皮質が薄くなり、自閉症のような症状が生じた可能性があるとのことです。

●高齢のオスの精子のDNAに変化

若いオスの精子と高齢のオスの精子を全てDNA解析したところ、高齢のオスの精子のなかの神経の発生に関わるDNAの一部に特徴的な変化があったそうです。

●高齢の父親から生まれたマウスは正常な脳の発達がされていない？

高齢のオスから生まれたマウスの脳を解析した結果、精子で変化が起きていたDNAの中にあるとみられる遺伝子が多く現れていたとのことです。
この遺伝子のせいで正常な脳の発達が損なわれている可能性がある、としています。

男性も高齢で子どもを授かることにはリスクが伴う

男性は自分が50～60代になっても、若い女性を妻にもらえば子どもを授かれると考えているかもしれません。しかし上記のように胎児へのリスクが高まります。安易に考えてはいけないことを示しているのはないでしょうか。

太古の昔から、男女は若くして出産・子育てをするようにできている

ここ数年で医療は目覚ましい発展を遂げ、周産期医療も発達しました。しかし、人間の生殖機能はそう簡単には進化しないのです。
ですから、20代・30代で子どもを産み育てるのが最も適していることがわかります。
最近は40歳を過ぎてから出産をする女性芸能人が増えましたし、60歳を過ぎた男性が若い妻をもらい、子どもを授かったニュースも耳にします。
しかしここで、「自分も授かれる」と安易に考えてはいけないのです。