幼少期から英語に慣れて親しみ、世界の文化や言語に興味を持ってほしいと、英語のカリキュラムを取り入れる幼稚園や保育園が増えています。
2020年度からは小学校で英語が教科として扱われるようになるため、保護者もその必要性を認識し始めました。
国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム(PYP)導入校の認定
幼稚園や保育園の英語への取り組みは広がっているものの、その基準となる部分はあいまいで、どの程度効果があるのかもなかなか見えにくいものでした。
それにある一定の指針をもうけ、認定を受ける幼稚園や保育園が出てきました。
これが国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム(PYP)。3歳~12歳を対象としており、2019年5月現在日本国内に36校あります。
PYPは、「探求心や批判的な思考力の育成を目指し、疑問・質問を引き出し、自発的な学びを促す」ことに重点を置いています。
この幼稚園を出た幼児は、小学校や中学校もIBクラスがある学校やPYP認定を受けている学校を選ぶ傾向が出てきました。
日本の小学校の卒業資格が得られるインターナショナルスクールも
ほとんどのインターナショナルスクール(IS)は、英語教育の面からメリットは大きいが、①学費が高い②日本の小学校の卒業資格が得られない、といった難点がありました。しかし、最近は日本の小学校の卒業資格が受けられるISも出てきました。
千葉県千葉市美浜区にある幕張インターナショナルスクールもその一つ。幼稚園はほぼ英語で過ごし、小学校は国語と社会の一部を除き英語で学ぶとのことです。
「総合学習」なのか「教科」なのかは大きな違い
一般的な総合学習は子ども達の視野を広げたり様々な経験を積ませるなどの大切な役割を果たします。
成績を付けることはせず、一人ひとりの感じ方や取り組み方を評価し、子ども自身の探求心や興味を大切にします。
子どもの自身も「テストがなく成績もつかない」ことは認識しており、のびのびと自由な発想で意見交換をしたりと意味のある時間です。
しかしこれが「教科」になると様子は違ってきます。単純に言うと、教科になると「テストがあって成績がつく」ようになります。習熟度によって優劣が付けられるのです。
もっと成績をあげたいから頑張ろう、と考える子もいる反面、習熟度が一定に満たない子どもは苦手意識を持ったり、劣等感を感じたりすることもあります。
成績がつくことはメリットもデメリットも含んでいると考えられます。
一番大切なのは子ども自身が「英語を使いたいな」と思うこと
子ども自身が本当に喜んで英語に接しているか、子ども自身が英語を使ってみたいという動機があるかが大切です。
「お母さんが喜ぶからやっている」では本末転倒であり、やらされ感の方が強いでしょう。
子ども自身が英語を使うシチュエーションの中で意味のある英語を使いたい、と感じる環境がとても重要なのです。
2019年6月8日 朝日新聞朝刊より