過度な期待は子どものプレッシャーになる

「無事に生まれてきてくれればいい」と願っていた我が子の誕生から、「幸せになってほしい」「普通に元気に育ってくれればいい」という願いに変わり、だんだんと「かしこい子になってほしい」「他人に負けない子になってほしい」といいう願いに変わっていく子育て。

子どもは親の期待を一身に背負って成長していきますが、それが成長の足かせになっている可能性があるのです。

発達を妨げる過度な期待

期待に応えようとしてできるフリをする

承認欲求は大人も子どもも等しくあります。

子どもは特に親の期待に敏感なので、どうにかして喜ばせたいと考えています。

しかしまだ幼児期の脳には親の期待に応えられる段階に発達していないのに、親の期待がうなぎのぼりになると当然窮地に追い込まれてしまうでしょう。

すると脳はそれに対応するために、「わかったふり」「できるふり」をするように思考レベルをもっていき、ストレスから逃れようとします。

結果的にどんなに英才教育、幼児教育を施しても身に付いていないという結果を招くことになるのです。

知的好奇心を失ってしまう

かしこい子に育てるには知的好奇心を育むことが大切です。

しかし、親が強制的に厳しい指導ばかりしていると「これはどうなっているんだろう?」「おもしろそうだから調べてみよう」といった好奇心から、「どうすれば親をよろこばせられるだろう?」「どう対応すれば親は満足だろうか?」という処世術や妥協へと形を変えてしまいます。

やがて探究心はしぼんでいき、親がのぞむ子ども像を求めて受け身で生きていく子に育っていくでしょう。

期待に応えられずストレスになる

つい感情的になって子どもを叱るのではなく怒ってしまうこともあるでしょう。

一方的に指導をして、過大な期待を子どもに課し、子どもが期待に応えられないと失望したり不機嫌になったり、怒りをあらわにしたりする保護者もいます。

そしてそうした保護者の大半が「子どもはどうせわからない」と思っているのではないでしょうか。

子どもは信じられないほど幼いころから保護者のそういった心の機微を敏感に察知しています。

そしてどうにかして親を失望させたり、怒らせたりしないようにと動こうとするのです。

すると子どもは親に支配されていると思うようになります。

自分に向けられるネガティブな親の感情が自分のせいだと思うようになり、脳の発達を遅らせてしまうのです。

心理学用語でいう「学習性無力感」につながり、うつ病の引き金になります。

子育てで忘れてはいけないこと

親が子どもに与えられるのは、安心して過ごせる居場所です。

ありのままのこどもの姿を保護者が受け止められるかどうか、そこにいるだけで認められるかどうかで安心感が変わります。

安心すると子どもは知的好奇心を刺激するものを求めていきます。

子育ては親の嗜虐心を満たすものではありませんし、保護者どうしの競争の道具ではありません。

友人の子どもと比べたところで子どものストレスになり、逆に子どもの脳を退化させてしまう、害を及ぼさせてしまうということを意識しておきましょう。