子どもの英語の早期教育について、いつの時代も賛否両論分かれています。それぞれにメリットやデメリットがある、ということでしょう。
英語だけで過ごす幼稚園に通う子どもが流暢に英語を話していのを見ると、あせってしまう親もいます。
一方で、英語を生業としている人は、もともとバイリンガルだった人が多いわけでもありません。
読み聞かせとビデオを見せることには大きな違いがある
興味深い実験の結果があります。ある研究者がアメリカ人の赤ちゃんに中国語で絵本を読み聞かせる実験をしたそうです。
人間が直接読み聞かせをした赤ちゃんたちは、中国語の微妙な発音の違いを聞き分けることができるようになったそうです。
一方で、音声のみやビデオ上映などで読み聞かせをした赤ちゃんたちは聞き分けができなかったそうです。
言語の習得は、人と人とのふれあいの中で過ごす時間や空間が影響していることが分かりました。
子どもは心と体が一致しないと、本気スイッチが入らない。
語学を習得する上で、リアルな体験はとても大切です。子どもは真似することによって様々な能力を獲得していきます。英語が使われている国に行くことや親が何気なく英語を使う生活をしている姿を見せることはとても意味のあること。
しかし、子ども自身に「英語を使ってみたい」という意欲が生まれないと習得は難しいです。
子どもは大人が話している姿を見て、一緒に話に交わりたい、話したい、と思うようになります。
子どもが英語を話したい、使いたいと思うきっかけをどう作ってあげられるか。英語を話したい、使いたいというスイッチが押されることが何よりも重要です。
ただビデオを見せられるだけのやらされ感では習得は難しいでしょう。
子どもの脳は可塑性(かそせい-外的に力を加えて変形させて、その力を取り除いても元に戻らない性質)がある
帰国子女が時々「最初は何もわからなかった英語が、突然分かるようになった」と言うことがあります。
子どもが急に英語圏の生活に放り込まれた時、最初の半年くらいは何も話さない時期があり、これをサイレントピリオドと言います。その間、脳の回路はめまぐるしく変化していて、脳神経の接触部分に新たなつなぎ目が作られるそうです。それがだんだん最適化されていき、英語が理解できるようになるとのこと。
この可塑性は子どもの方が優れているため、英語圏で生活するなら早い方がいいと言われるのはこのためです。
一方で、国籍が異なる夫婦の間で、二つの言語を操る両親のもとで育った子どもは、混乱することはなく二つの言語を一緒に習得していきます。このような環境下では特に心配する必要はなさそうです。
英語をしっかりと学ばせたいのなら、日本語もしっかりを習得させること
英語をしっかりと身に付けさせたいのなら、母国語である日本語をしっかりと習得することを怠ってはいけません。思考の基本である第一言語は日本語とするのです。
日本語で様々な表現力を身に付け、細やかなや心情や形容などを日本語でしっかりとマスターしておく必要があります。なぜなら、第二言語は母国語以上に発達しないからです。
さらに前述した通り、子ども自身が英語を話したい、使いたいと思うきっかけ作りや環境を提供してあげることが大切です。