今年は例年になくインフルエンザの流行が早くから始まりました。小さい子どもを持つ家庭は気をもみます。
いくら予防していても、保育園や幼稚園、学校はすぐに集団感染します。
2018年3月に発売された新薬ゾフルーザですが、耐性ウイルスの出現が報告されているとのこと。特に12歳未満の子どもに多く出現するとのこと、とても心配です。
1回飲めばOKという夢の薬「ゾフルーザ」
インフルエンザ薬といえば、有名なタミフルをはじめ、リレンザやイナビルも発売されています。2018年3月に発売された新薬ゾフルーザは、1回飲めばOKということもあり、2018年~2019年のハイシーズンには一番多く処方されたとのこと。厚生労働省の調査によると43%がゾフルーザだったとのことです。
小さい子どもに薬を飲ませるのは至難の技。特に熱を出してぐったりしている時にはなかなか飲んでくれなくて、親もストレスを感じたことがあるのではないでしょうか。
健康体の人はいいけれども・・・
一般的に健康体の人であれば、インフルエンザにかかっても、数日安静にしていれば治ります。
下の子どもが小学校に上がるのを機に、予防接種をやめた、という人も多いでしょう。
しかし、5歳未満や65歳以上、慢性疾患を抱えている人にとって、感染は脅威で、重症化することもあります。
特に喘息を患っているお子さんは肺や気管支に炎症が起きることは避けたいですね。
重症化を防ぐためにも、きちんと予防接種を受けて、感染したかも?と思ったらすぐに病院に行き、薬を処方してもらうことが大切です。
これを機に手洗いうがいの習慣を
手洗いうがいは全ての感染症を防ぐための最初の手段です。ぜひ習慣付けたいですね。洗面台前に台を用意したり、お気に入りのキャラクターの泡ソープやコップをおくなど工夫をしてぜひ習慣付けましょう。
また、洗面台のタオルはなるべく毎日変えることも有効な予防策になります。
一番のお手本は親。親が率先してやっているところを見せましょう。
12歳未満の子どもに耐性ウイルスが出やすい
2018年~2019年にかけて、ゾフルーザはかなり処方されたため、耐性ウイルスの報告はありました。
塩野義製薬も、臨床試験段階から耐性ウイルスの出現は予想できた、としています。
その出現率は、12歳以上の患者が9.7%なのに対し、12歳未満の子どもでは23.4%にも達したとのこと。子どもの患者の4~5人に1人は耐性ウイルスが出現したことになります。
塩野義製薬は、その出現率の高さを国に報告した上で認証を受け、販売しているとのことです。
小児科学会は「12歳未満の子どもには積極的に処方しないで」としている
日本小児科学会は、12歳未満の子どもには積極的な投与を推奨しない、と報告し、判断は現場の医師に任せるとしました。
ゾフルーザが効きにくい耐性ウイルスは、当初通常のウイルスよりも増殖する力が弱いとされていましたが、東京大学の調査の結果、通常のウイルスと同様に増殖する力を持っていることが分かりました。
1年しか使われていない薬のため、これから臨床データ収集
ゾフルーザがハイシーズンを通して処方されたのはまだ1年間だけです。ですから臨床データが圧倒的に不足しているため、正しい評価は難しいでしょう。
これから年月をかけてデータを収集して調査し、情報提供していくとのことです。
2019年11月28日(木)朝日新聞朝刊より
2019年11月26日(火)朝日新聞朝刊より