乳幼児向けの番組といえば、Eテレの「いないいないばあ」や「おかあさといっしょ」。民放各社では小学生向けはあっても乳幼児向け番組はありませんでした。
そんな中、テレビ東京が見せても安心な赤ちゃん番組「シナぷしゅ」を企画したとのことで話題になっています。
育児休業中のママさん社員が企画を持ち込む
育児休業中のママさん社員が、0歳から2歳児むけのコンテンツを探しても、なかなか優良なものが見つからない現実を目の当たりにし、育児休業明けに企画を持ち込んだそうです。
乳幼児にテレビを見せることに不安を抱える親は多く、実際に後ろめたさを感じながら見せている人が多いとのこと。
乳幼児の発達に詳しい専門家は「一緒に見て指差しや体を動かすなどしてあげて」と言っています。親の方もそんなことは重々承知。それができないから悩んでいるし、後ろめたさや罪悪感を感じているのです。
そこでテレビ東京内の部署を超えたママさん社員が有志として集まり、「シナぷしゅ」は制作されました。
実際に乳幼児にテレビを見せることには議論はあります。しかし、核家族化が進み、働き方改革も進んだとはいえず、母親一人に家事や育児の負担がのしかかる現状は変わりません。テレビに頼らざるを得ない現状があるのです。
そんな中で良質なコンテンツを提供することに意味はあるのでしょう。
赤ちゃんの脳に優しい刺激を与える、こだわった番組作り
シナぷしゅは赤ちゃんの目線を大切にした番組作りを心がけています。乳幼児にウケる企画では、映像を逆再生してみたり、本来ならゆっくりと読む童話をスピードアップしてみたり。赤ちゃんの中にある固定観念の意表をついてウケをねらうように企画しているそうです。
他にも、日本語にはない外国語の響きを聞かせてみたり。また赤ちゃんが好むパピプペポなどの破裂音を引用したり、モノに意外な動きを付けてみたり、色に意外な変化を付けてみたり。
東京大学の赤ちゃんラボの監修を受けており、それぞれ2,3分でコーナーを区切って、赤ちゃんの集中力が続く範囲の番組作りをしているとのことです。
12月16日(月)から1週間放送し、2020年春にレギュラー化を計画!
シナぷしゅは12/16(月)~20(金)の1週間、朝7:35~8:00まで放送されました。現在はネット配信しています。
テレビ東京「シナぷしゅ」ネット配信はこちらから
https://www.tv-tokyo.co.jp/synapusyu/
この時間帯も画期的です。Eテレのいないいないばあは朝8:25から。朝早く保育園に行く乳幼児でも朝7:35からなら見られる可能性がぐんと広がります。
好評であれば、2020年春からレギュラー番組として放映されるそうです。
テレビやネットは避けられない、ならば優良なコンテンツを
IT機器が世の中を席巻し、テレビやスマホ、Youtubeなどはもはや生活の一部。それらを全く取り除いて育児をすることはもはや不可能でしょう。
避けられないのだったら、少なくとも赤ちゃんには優良なコンテンツを見せて、優しく脳の発達を促したい、親は当然そう感じます。
今まで乳幼児番組はEテレしかありませんでした。これはこれで素晴らしい番組なのですが、民間放送ならではのフットワークの良さや企画の面白さも期待したいところですね。
2019年12月14日(土)朝日新聞朝刊より出典