筑波大学でスポーツ科学を研究する清水教授らの研究によると、子どもの体力差は親の収入に依存するという結果が出たとのこと。しかも、就学前から差があるとのことです。
ちょっとショッキングな内容です。
収入の多い家庭の子どもの方が体力が高い
同研究で分かったのは、体力テストで、収入の高い家庭の子どもの方が低い家庭の子どもよりも結果が高いこと。
さらには収入の多い家庭の子どもは運動系の習い事をしたり地域のスポーツクラブに加入したりする子どもが多いことも分かりました。
50m走やシャトルランでその差が大きく現れていることも分かりました。
スポーツ格差は幼稚園・保育園時代からある
最近は習い事としてスポーツをする子どもが増えており、これでは収入の低い家庭の子どもは当然不利になります。そしてその体力差は小学校入学前から現れています。
特に未就学児の運動習慣は親の状況によってかなり左右されます。収入に余裕があればそれだけ子どもの習い事にお金をかけることができ、スポーツや学習面で有利になるでしょう。
スポーツ格差は学年が上がるにつれて広がっていることも分かり、幼少期のスポーツの習慣が蓄積され、大人になっても差が出たままのようです。
スポーツ格差は学校生活にも影響がある
アンケートの内容を見ると、体力の高い子は友達も多いことが分かっています。一方で体力の低い子は孤独を感じている傾向も分かりました。
孤独を感じている子どもは休み時間に一人で過ごしたりしており、心身の発達を考えると深刻です。
収入の高い家庭の子は、頑張ればほめてもらえる環境で生活しており、それが相乗効果にもなっているようです。
国の予算配分は、高いレベルの競技者への支援が中心
サッカーくじ(toto)の財源を子どもの地域スポーツにもっと配分するべき、と清水教授は語っています。
このままだと、オリンピック選手は幼少期からお金のある一部の人だけがなれるものになってしまいます。これでは子どもの様々な能力や可能性を狭めてしまうのではと危惧されます。
2020年11月18日(水)朝日新聞朝刊より出典