2019年9月、赤ちゃん研究の第一人者として知られる小児科医の小西行郎さんが亡くなりました。その小西さんが最も心配したのは「親目線でしかない育児」。最後まで「子どもは親の思うとおりにならない」というメッセージを伝え続けました。
覚えて欲しいことは覚えてくれないもの
言葉を覚えて欲しい、信号の意味を理解して欲しい、親はどうしても子どもに「・・・してほしい」と願ってしまいます。そして教えこませようとしてしまいがち。けれども、子どもの発達にはそれなりの段階があるのだそう。
脳神経の発達は必要な段階を通り越して次の段階に進むことはありません。一歩一歩、その子のペースがあり、それを尊重することが求められます。
子どもに自我が現れなくなってきた?
少子化の影響は深刻。子ども一人に対して大勢の大人が関わるようになった現代。大人の価値観を子どもに押し付ける傾向も見られるとのこと。
また愛着形成の重要さが叫ばれるあまり、子どもが自ら好奇心を持ったり学習したいという欲求が薄くなってきているとも感じているとのことです。
常に「子どもはどう感じている?」「子どもはどう思っている?」という目線
よく小西さんは、子どもを主語にして考えてみてと言っています。親がどう思うかではなく、こどもの目線に立ってと言っています。親も、頭ではわかっているけれどもなかなか難しいのが現実です。
子どもは親が余裕をもって見てあげたいです。余裕があれば、良いことも悪いことも受け止めてあげられます。子ども自身をそのまま受け止めることがたいせつとのこと。
現代の親はなかなか引き出しが少なく、余白やあそびが少ないとの事でした。
間違いだらけ、ネットの育児情報
今は親目線の育児情報が溢れていて子どもの感情が置き去りにされているように思うそうです。
例えば子供が嘘をつくようになった時、親はとても困惑します。嘘を付くような子に育ててしまった、と自責の念に駆られます。
でも小西さんによると、それは子どもの大切な発達の段階。子どもは正直に伝えると怒られることを想像し、言い訳をして相手をだまそうとします。これは子どもが発達している証拠なのです。
家は安心安全な空間?
明るくて整理整頓されていて清潔感に溢れる部屋。とても過ごしやすいですが、子どもにとって隠れる場所やちょっと怖そうな部屋があってもいいものです。その方が興味がそそられますしなんか安心できるのだそうです。
子どもは自分の持ち物ではない
自分から出てきた子どもですから、お母さんは特に自分の持ち物でありコントロールできるものと勘違いしてしまうのだそうです。
だからコウノトリが運んできた、という発想はとても大切なんだそうです。