イクメンという言葉、どう思いますか?

約10年前、イクメンという言葉が新語・流行語にノミネートされました。それから10年、イクメンという言葉は便利に都合よく使われてきました。でも違和感を感じ、その言葉が嫌い、という人も増えました。

イクジョとはいわない・・・

育児を担う女性をイクジョとは言いません。これは長い間主に育児をしてきたのは女性だからでしょう。
共働きが圧倒的に増え、男性も育児に協力しないと成り立たない家庭が増え、「男性も育児に協力しよう」というメッセージを込めてイクメンという言葉ができたのでしょう。

タレントの影響もある

育児に積極的に関わる男性タレントが増えたこともあるでしょう。奥さんが産休を取っている間、代わりに兄弟姉妹のお弁当を作ったり。そうして徐々に育児に関わることが普通になってきたのはとても喜ばしいことです。

イクメンになりたくてもなれない人もいる

まだまだ長時間労働で社会が成り立っている現実。男性が育休を取得したり、定時退勤したりすることの難しさが指摘されています。
現在の管理職にあたる世代-40代50代は、妻は出産で仕事をやめてしまう人が多かった世代。そのため、子どもが小さくても残業や休出できたし、飲み会にも行けたかもしれません。
そもそも、その世代が20代30代だったころの上司は「結婚したら女性は家庭に入るもの」のため、何も違和感は感じなかったのでしょう。

ですから、育休取得や定時退勤することに理解がなかったりするのは当然。これはある程度仕方のないことで、だんだん取得する人が増えることで理解が深まり、長時間労働が減る方向になればいいのですね。

会社としては、現実に誰かが仕事を肩代わりしないといけません。また定時退勤する男性の方は「キャリア形成に不安が生じる」「周りから遅れをとる」と不安を隠せない人もいるようです。

定時退勤して家事育児を手伝わないと妻は不機嫌に。しかし、現実帰れない時もある。。。
こうして夫婦間に不協和音が生まれ、離婚問題に発展する夫婦もいます。

一番大切な子どもの気持ちが置き去りになっていない?

子どもの気持ちを考えると、何が優先なのか分からなくなります。
ある子どもは、自分が熱を出すたびに「どちらが休むかでいつもマとパパが喧嘩をする」と悲しそうに話していたとか。
その子は熱を出す自分が悪いんだと思い込んで自分を責める気持ちになったそうです。
これでは子どもの情緒の発達にいい影響があるはずがありません。子どもは自分は大切にされていると心から感じられない、共働きのメリットは大きいかもしれませんが、まだまだ子供を中心に仕事のサイクルを回すことに理解が得られていない現実があります。

イクメンという言葉はその家庭なりに好意的にとらえられれば理想

イクジョという言葉が存在しないように、男性が育児に関わることが当り前になればイクメンという言葉は消滅するでしょう。
家事育児を押し付けられている嫌な感覚になる人もいるかもしれません。表面的に関わっているようなふりをしてイクメンぶっている男性もいるでしょう。
その家庭や環境で変わるかもしれませんが、それぞれが好意的にとらえてくれるいい言葉になってほしいものです。

2019年10月13日(日)朝日新聞朝刊より