人の知恵で暑さをしのげていた時代はもう来ないのでしょうか。連日の猛暑日で、エアコンを適度に使うことが推奨され、不要な外出や炎天下のスポーツは控えることなどが叫ばれています。
人は暑くなったら汗をかきます。これは体の正常な反応。しかしこの「汗をかく」という能力は、3歳ころまでに決まることが分かってきました。最近はあまり汗をかかない子どもが増えたとも言われています。体温調節のために、汗をかくことはとても大切なことなのです。
■汗の役割って?
人間は動いたり食事を摂ったりすると体が熱を発します。そうすると体温が上がりすぎないように汗をかきます。皮膚の表面の汗が蒸発するときに一緒に熱を奪います。この気化熱を利用して体温を下げようとします。
汗が出てくるのが汗腺。全身に200万~500万個あると言われ、大人でも子どもでも数は同じです。この中の能動汗腺と呼ばれるものから汗が出てきます。日本人は200万~300万個くらいあると言われています。
■なぜ汗をかかない子どもが増えた?
人は3歳までの生活習慣で、能動汗腺の数が決まってしまいます。高い気温を経験して汗をかくことで能動汗腺数が増えるのが3歳頃まで。
なので、3歳までエアコンの中で快適に過ごしていると、能動汗腺の増える機会を奪ってしまうことになります。3歳を過ぎたら能動汗腺は増えません。
汗をかかないとこんな問題が・・・
熱中症になりやすくなります。汗をかかないと熱を発散できず体内の温度がなかなか下がらなくなってしまいます。比較的短い時間や軽い運動でも熱中症になるリスクが高まります。
また、最近増えている低体温症の子ども。これも能動汗腺が少ないことによる影響と言われています。
汗をかいて体温を調節することができない場合、身体は発熱量を抑えようとし、体温を低くしようとします。一般的に子どもの体温は36.5度くらいと言われていますが、35度代に下がってしまいます。
体温が下がると基礎代謝が落ち、新陳代謝が鈍り、免疫力が落ちます。そうなると病気にかかりやすくなったりアレルギーにかかりやすくなったりします。
低体温症の子どもは勉学に影響が出る
低体温症の子どもは体の不調を訴えることが多くなります。いつも元気がなく、集中力に欠け、日常生活や学校生活に大きな影響を与えます。もちろん勉学にも影響します。
■秋~春は積極的に外遊びをしよう
真夏の猛暑日は除いて、春や秋の気持ちの良い季節は、外に出て体を動かすことをおすすめします。動いて汗をかく機会をたくさん作ってあげましょう。
汗をかいたら、完全にふき取るよりも、濡れたタオルなどで拭うのがおすすめ。汗が蒸発する時の気化熱で体温を下げるため、皮膚の表面は少し濡れている方が気化熱の働きを妨げません。
また、冬は体温を保つために代謝を上げ血管を縮めるなど、人の体は外気温に応じて対応する機能が備わっています。
子どもを常に快適な環境に置くことは、子ども体に備わっている自律神経の働きを鈍くさせてしまうことにも繋がります。
子どもの時に外遊びを通じて外気に触れることは、さまざまな面から必要なことと認識しましょう。