絵本の読み聞かせが子供の発達に非常に良い影響を与えることは周知の事実。健常児だけに限らず、病気や障害を持つ子供に対しても同様です。
ここでは長野県松本市にある団体が取り組んできた活動をご紹介します。
始まりは児童書店の副店長
長野県松本市の児童専門書店「ちいさいおうち書店」の副店長、越高令子さんが、近隣の読み聞かせグループに自ら声を掛け、1997年に活動が始まりました。
10年ほど前、活動内容を記録して実践に生かすために、「本と子どもの発達を考える会」を発足。
いまではその活動は多岐にわたっています。
ケアの必要な子どもたちに
今ではその活動は、重症心身障害児の通園施設や特別支援学校などにも広がっています。
毎回の活動のたびに、読んだ本・子どもたちの反応・施設の職員のコメントなどを詳細に記録し、活動に生かしています。
反応の少ない子どもでも反応する!
絵本専門士の資格を持つ谷口和恵さんは、病気や障害のために普段あまり反応の少ない子どもでも、聞こえているし伝わっている、と感じる瞬間があると語っています。
以前、重い障害のある男児に読み聞かせをしようとしたとき、母親が「うちの子はわからない」と不安そうに言っていたとのこと。でも谷口さんが「いないいいないばあ(童心社)」を読みながら、ハンカチで顔を隠し、「ばあ!」と顔を出して見せたら、男の子は突然ケラケラと笑い出したとのことです。
思いがけない反応に母親も笑顔になれたとのことでした。
病気や障害のため、自力で動くことのできない子どももいます。そんな子どもたちにも絵本の読み聞かせをすると、モニターの波形が揺れることがあるそうです。
「子どもたちに、痛いこと辛いことはいっさいしない」がモットー
普段から治療で辛い思いをしている子どももいます。その思いを自分の言葉で伝えることができない子どももいます。
この会は、子どもたちに対し、絵本を通じてただ楽しいことだけをします。最も大切にしている考え方であり、モットーでもあります。
読んだ絵本に対し、「繰り返されるリズムと擬音を楽しんでいるようだ」「気分転換の工夫とタイミングが効果的」など、丁寧に記録をしています。
他の支援者もその記録を読みながら試行錯誤を重ねています。
約250冊の絵本を紹介した本ができました!
2019年12月、かもがわ出版から「読み聞かせで発達支援 絵本でひらくこころとことば」という本が出版されました。
こちらの会の会員7人が中心となって執筆し、約250冊の絵本が紹介されています。子どもの特性に合ったえほんが探せるとあって、話題を呼んでいます。
サンライズキッズ保育園ではたくさんの読み聞かせを行っています!
多彩な育脳カリキュラムを実践中
https://www.sunrisekids-hoikuen.com/
2020年3月14日(土)朝日新聞朝刊より出典