近年、不登校の児童が増え続けている状況を受けて、小中学生を対象とした「学習支援」を目的とする新たな保険が提供されるようになりました。
この保険は経済面の援助に加えて、不登校の初期段階から適切な相談先へとつなげるサポートも組み込まれているそうです。
(※2025年9月3日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
不登校支援を目的とした新たな団体向け保険制度を損保ジャパンが提供
損害保険ジャパンは、今年4月から不登校の子どもたちを対象とする新しい保険サービスを開始しました。
この保険は、個人では契約できず、契約者はPTA、学校、自治体などの団体に限られています。
従来の学校におけるけがや病気に対応する保険に近い仕組みとなっています。
この制度では、不登校となった子どもの保護者に対して、PTAなどから見舞金が支給され、その金額に対して損保ジャパンが補償金を支払う形です。
補償額は1人あたり一時金で10万円となっており、年間30日以上の欠席に加え、スクールカウンセラーなどの専門家による相談を受けていることが支給の条件となっています。
この保険を企画した舟根正浩さん(44)は、「相談先がわからずに悩む保護者が多くいます。欠席日数だけで判断しないことで、子どもと家庭が孤立するのを防ぎ、多様な選択肢を持てるよう支援したい」と話しています。
不適切な利用を防止する効果も期待されています。
支給される10万円の用途には制限がなく、自宅学習やフリースクールへの通学費用など、学習の継続を目的とした支出に充てられることを想定しています。
舟根さんは、「例えばフリースクールの入会金や1か月分の月謝に相当する金額です。特に不登校になり始めた初期の段階で、経済的な制約によって進路が限られることのないようにしたかった」と語っています。
不登校の増加と支援体制の課題が浮き彫りになる現状
文部科学省の発表によりますと、2023年度における全国の不登校の小中学生は34万6482人に達し、前年度から15.9%の増加となりました。
この増加傾向は11年連続で続いており、深刻な状況です。
そのうち約4割の子どもたちは、学校内外で専門的な相談や支援を受ける機会がないとされています。
また、オンライン形式のフリースクールを運営するSOZOW(本社:東京)が昨年8月から9月にかけて実施したアンケート(有効回答数:187件)では、不登校の影響で「仕事を辞職せざるを得なかった」と答えた保護者が18.7%にのぼりました。
この結果から、経済的な負担を抱える家庭が一定数存在することが明らかになりました。
さらに、学校側からの支援情報が得られず「困った」と感じた人は77.0%に及び、情報提供の不足も課題となっています。
こうした背景を受け、愛媛県松山市の小中学校PTA連合会では、今年4月より新たな保険制度を導入しました。
現在のところ実際に見舞金が支払われた事例はありませんが、病気やけがを含む総合的な補償制度に任意で加入している人のうち、およそ3割がこの新しい保険が組み込まれたプランを選択しているとのことです。
保険による不登校支援に期待と課題の声あり
PTA連合会の担当者は、「不登校の増加が続くなか、保険が一つの安心材料として機能するのであれば、選択肢の一つに加えてよいと判断しました」と話しています。
保険を企画した舟根さんは、自身の子どもが通う学校で複数の不登校の児童を目にしたことをきっかけに、この制度を考案したそうです。
「特に不登校になり始めた頃は、親子ともに戸惑いや不安を抱えるものです。そんな時期に少しでも前向きになれるような支援を、保険という形で届けたい」と語っています。
また、実際に不登校を経験した家庭の意見もあります。
東京都内で保護者向けの交流会を主催している53歳の女性は、「誰でも不登校になる可能性があるという認識が広まり、『無理せず休んでもいい』と感じられる社会になれば」と述べています。
一方で、不登校が長期化する現実にも触れ、「一時金よりも、持続的な支援の仕組みが必要です。
フリースクールの情報収集や、医療機関の予約の難しさなど、金銭だけでは解決できない課題も多いです。
がん保険のように、継続的に寄り添ってくれる相談窓口などがあれば、もっと心強いと思います」と語りました。

